広山流では初代が残した「梅は梅らしく、桃は桃らしく」の言葉のように、植物の自然な風情を大切にしており、いわゆるテキストや見本花というものはありません。植物との対話により、その花材の特徴や個性をよく見極め、一枝、一花、一葉に心を配ります。いけ手の個性をそこに表現できることが、最大の特色になります。

植物の固有の美をとりだしていけたとき、初めて、自然に咲いている状態にもまして、より美しく、より輝いて見えるのです。
初代家元は、四季咲きのかきつばたが春夏秋冬、それぞれの違いを見せて咲く姿に魅せられて、生涯を通じてかきつばたを研究しつづけました。
日本の風土の中で四季おりおりに咲く草木には微妙な変化があります。
早春の芽吹きの力強さ、春爛漫の美しさ・・・そういった季節の移り変わりをいけ花にも取り入れ、四季の変化を告げる季節感も表現したいと思っています。